気候変動(地球温暖化)とその影響に関する科学的知見が蓄積されつつあるなか、世界では脱炭素の動きが加速しており、日本も「2050年カーボンニュートラル」を表明しています。
気候変動は地域にも大きな影響を与えることが予想されており、地域レベルでも脱炭素に向けた取り組みが求められるなか、気候非常事態や2050年の脱炭素を宣言する自治体も急増しています。気候変動の影響や脱炭素を地域の課題と捉え、その解決を考えていくことが必要です。
また、世界では、多くの若者が進まない気候変動対策に抗議の声をあげており、政策や企業活動に大きな影響を及ぼしています。一方、日本では、今後ますます悪化する気候変動の影響を受け、2050年の脱炭素の実現を担うはずの若者の気候変動に対する関心は依然として低いままです。
以上から、中高生の気候変動と地域脱炭素に関する知識・関心の向上や、気候変動問題の解決に向けた意欲・態度を醸成する気候変動教育が求められています。
本単元は、世界と地域とが抱える(グローカル)課題である気候変動のしくみやその影響、地域資源を活用した気候変動対策の技術・システムを主体的に学ぶとともに、カーボンニュートラルシミュレータ(CNS)を使って自分たちが住んでいる地域の2050年脱炭素を体験するものです。
これにより、生徒の気候変動や地域の資源・エネルギー・脱炭素についての知識の習得、未来の脱炭素の実現に向けた意欲・関心の醸成が期待されます。
第1回:気候変動のしくみと影響
IPCCや気象庁(地方気象台)、気候変動気象データ提供システムなどのデータをもとに、気候変動の現状やしくみ、影響について学ぶ
第2回:気候変動の地域への影響調べ
気候変動が自分たちの住んでいる地域にどのような影響をもたらす可能性があるかを調べる
第3回:緩和策-温室効果ガスを減らす方法
温室効果ガスを削減するための方法である「省エネ」「再エネ」「吸収源」の技術・システムについて学ぶ
第4回:2050年のカーボンニュートラル体験
第3回の授業を踏まえ、カーボンニュートラルシミュレータを使用して、自分たちが住んでいる地域の脱炭素の道すじを体験する。
第5回:適応策-気候変動に適応する方法
第2回の授業を踏まえ、気候変動による影響への適応策について学び、考える。
カーボンニュートラルシミュレータ(CPN)は、もともと地域での脱炭素政策を検討するために開発されたツールです。市区町村ごとに、2050年の人口、世帯数、就業者人口などの予測をもとに、省エネルギーの実施や再生可能エネルギーの導入によって、2050年の脱炭素が可能かや、その際どれくらいのお金がかかるのかをシミュレーションすることができます。本単元では、生徒が自分たちが住んでいたり、学校が所在する地域の脱炭素に向けた道すじや難易度を体験するために使用します。
学校のパソコンや生徒のタブレットで使用できるようにExcelファイルで作成されており、以下のサイトで無料で公開しています。
CNSダウンロードサイト:https://opossum.jpn.org/news/2021/09/30/805/